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黒布が取れて明らかになった顔は、やはり幼さの残る少年のものだった。
先程、斎藤が15、16と予想していたが、もっと若いのかもしれない。
が、そんなことは重要ではなかった。
黒布の先にあった予想外の光景に、二人して不覚にも固まってしまう。
「――――っ!?」
少年の服は血まみれだった。
――どういうことだ?何故、この少年は血まみれでこんな所にいる?刀を所持している様子もない、一体何があったんだ?
混乱する斎藤の隣で、至って冷静な口調で沖田が話しかけた。
「ちょっと…。君、なにその血。………何処で、何をされたの?怪我してるの?」
あぁ、それとも。
「それ、返り血?」
「…………。」
少年は答えない。
それを沖田は、自分に都合が悪い事であるから答えないのだ、と判断する。
「まぁいいや。頓所に来てもらうよ。…逃げようとか、ごまかそうとか、馬鹿な事しないでよね?」
切り捨てるよ。
沖田は少年の腕を掴んだ。
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