不羈の君。

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―――爽が逃走するに至った原因の一つとなった、あの風。 自然物ではないことなどは一目瞭然であった。 ―――あの風は、あいつの声と同時に起こりはじめたもんや。 まるで、彼を逃がす為だけに起こった様な風の存在。 加えて、今現在の二人の会話の内容。 彼ら―――つまり、【異能者】―――の存在を知る者からすれば、これらの事から 爽が【異能者】である と、予測するのは、さほど難しいことではない。 あまりにも不確定なもんやし、あん時は俺の【勘】しか根拠が無かったから、副長にも言わんかったけど……。 間違いない。 露莅 爽は【異能者】や。 ―――そう確信すれば、山崎は自分の胸が高鳴っている事に気がついた。 興奮の為だろうか、体温が上がっているのがわかる。 先程までは寒いと感じていた風も、ほてった頬には丁度いい。 ―――なんや、俺は異能者さん等ぁに深い縁でもあるんか? くないを握る山崎の手に、さらに力が入った。               ・・ いくら忍やいうても、この齢で二回も【異能者】と接触するなんか有り得へん。 彼らのほとんどが、人が立ち入れない様な場所で暮らしている筈だ。 簡単には出会えない。 ―――何故なら。 彼らは、【人】から逃れる為にそういった生活を選んだのだから……。
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