Ⅰ.シムニ村      1.守りたいもの

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「ふわぁあ…」 眠気の抜け切らない身体を引きずるように歩き出すと、前方に見慣れた栗色のロングヘアー。 「セーラ!」 「あ、ロイおはよう。どしたの?ロイが休みの日に出かけるなんて珍しいね。」 そう言って微笑んだのは、隣の家の一人娘の、セーラ=パーカー。 「買い物頼まれたんだよ。」 俺が不満をにじませながら答えると、セーラは自分より背の高い俺の頭に手を伸し、わしゃわしゃと撫で回した。 「お使いなんて偉いねー、いい子いい子!」 「ちょっ!子ども扱いすんなよ!!」 俺が抵抗を試みると、セーラはそれをヒラリとかわし、走り出した。 「何してんのー?私もお使いだから一緒に行こーよ。」 「ったく、自由なやつだな。」 俺はため息をつきながらも、後を追って走り出した。 家を出たときより、気持ちは随分軽くなってた。
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