鈍感なあの人。

3/6
前へ
/152ページ
次へ
「毎日一緒にお手々繋いでニコニコ登校してくるし、教室じゃあ頭ぽんぽんされてるし、部活動も一緒でその帰り道もラブラブと来ましたよ? ……これをリア充と呼ばずとして他にどう呼べっていうの! マジ爆破しろ!」 「いや、ち、違うの! だから、それは全部違うんだってばっ!」  手をブンブンと振り、必死の否定を見せるが、里沙の方はやはり納得などしていない様子だ。 「登下校一緒なのは家が近いからで、手を繋いでるのは車にでも轢かれたら危ないからで──」 「頭なでられてるのはもう幼稚園の頃からずっとそうだったからで、部活動が一緒なのは──あんたが彼の事を好きだから!」  もう何回も聞いたってば……。とうんざりした様子で、彼女はもう一度机に頬杖をついた。  放課後の周りには誰もいない教室。机一つを境に向かい合って座る二人。  窓から聞こえる運動部の青春の掛け声は、彼女の所属している部活のものだ。  ただソラは所詮マネージャーな訳で、特に早く部活動に行かなければならないという事はない。 「そんなに好きならさー、もうソラの方からコクっちゃえばいいじゃん!」 「む、無理! それだけは絶対に無理っ!」
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

324人が本棚に入れています
本棚に追加