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「なんでよ! 誰がどう見たってもう、二人は完全に両想いのラブラブカップルじゃん!」
「いや、でもっ、無理だよぉ……里沙ぁ……」
「……そんなうるうるした目で見つめないでよ、まったくもう」
よしよし、と里沙は、ソラの頭を優しく包み込むようになでる。
どうやら二人の中は、かなり深いもののようだ。
「でもさー、私に他にどうしろって言うの? ぶっちゃけた話、私の考えつく作戦という名の作戦は全部、向こうにいとも簡単に弾き返されちゃったのに」
里沙はアゴに指をあてながら、小首をかしげた。中々それは、絵になる光景ではあった。
「水族館とか遊園地とか、デートというデートに作戦という作戦は全部やったでしょー? お色気で誘おうったって、あんたにはちょっと武器が足りないし……」
「あ、あによ!? えーかっぷで悪かったわねっ!」
顔はかわいいんだけどね、と付け足した里沙の言葉は、ソラの頬を赤くするのに十分だった。
「残っているとすれば──家に押しかけデートかい」
「あ、え、えーっ?」
「不満なら一人で考えろぉい!」
「ごーめーんーなーさーいー!」
こうして、渋々ではあるが……
彼女は、第三六回目の作戦決行を心に決めるのだった。
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