36/44
前へ
/174ページ
次へ
二人で食堂に向かう。 行きしな、何故だか蒼井に手を差し伸ばされた。 どういう意味だ…? 俺はその手の意味が掴めず首を傾けて考える。蒼井はといえば、何やら上機嫌の様子。 「…蒼井…、?」 「な―に?しょ―」 尚も周りに花を撒き散らしそうな笑顔の蒼井。 「しょ―、手繋ごう?」 「‥手‥?」 「うんっ!…ダメ?」 さっきまでのあの笑顔は一体どこに消えたんだろうか。 凄く悲しそうに幻覚の犬耳をしょんぼり垂らす。 「ん…い、よ…?」 「ホントにっ?」 「…んっ…」 “コクリ”と頷いて、普段は無表情ながらも自然と柔らかい表情に変わる。 「…!」 「…‥?」 「しょ―…、やっぱり…」 ぐうぅ~ 「……」 「しょ―?」 「お腹、空い…た‥」
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2034人が本棚に入れています
本棚に追加