我ハ愚者ナリ。

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僕はお気に入りのリュックサックに財布、携帯などの必要な物を詰め込んで、1階に向かった。 「おはよう、母さん」 キッチンで片付けをしている母さんにあいさつをする。 「おはよう。やっと起きてきた。海琴、夏休みといっても、もう少し規則正しい生活しなさいよ?」 「分かってるよ」 母さんのあまりにも正論なご意見に、僕は苦笑いで答える。 そうは言っても、今日明日で夏休み前の生活を送る自信が全くないけど。 「あれ?母さん、今日どこかに出掛けるの?」 普段は家の掃除やら、洗濯やらで忙しそうな母さんが、少しよそ行きの服を着ているのに気がついた。 「ええ。朝、パパから電話があってね。…どうもお義母さんの体調が良くないみたいなのよ」 「え!?ばあちゃん、大丈夫なわけ?」 「パパが言うには、多分夏バテだろうって。でも、パパ今日は当直で行けないから、代わりにママが様子を見てくることになったのよ」 僕と喋りながらも、母さんは着々と出掛ける準備をしていく。
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