我ハ愚者ナリ。

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言いたいことだけ言って、母さんは忙しなく出ていった。 反論する隙さえ与えられず、 一人残された僕は、ただ母さんが出ていった扉に向かって、 【…行ってらっしゃい】 と呟いた。 はぁ。 僕の今の顔は、きっと真っ赤だろう。 ほんと、あの母には参る。 どうして、恥ずかしいことをポンポン言ってくるのか。 思春期というものを迎えてから、母さんの愛情が恥ずかしいお年頃。 今日もまた母さんの愛情を素直に受け取れない僕は、片手で首を掻きながら、一人キッチンへと戻った。
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