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「くぅー…すぅー…」
午後の暖かな日差しの下、メアは屋敷の前の門にてコックリコックリと船を漕いでいた。
「すぅー…すぅー…」
「メア」
「すぅ…すぅ…」
「おいメア」
「ダメですよぉ~レティシアお嬢様ぁ~…そんな…そんな…あぁ!!」
「どんな夢を見てるんだこのアホ使い魔!!」
ポコンッ!!
レティシアがメアの頭を叩く。
「…ハッ!!レティシアお嬢様!?寝てませんよ!?起きてます起きてます!!」
「どこがだ!!」
メアの前に偉そうに立つのは彼女の主人である闇の精霊王レティシア。大層な称号と裏腹にその見た目は10歳くらいの少女である。
「いえ!!本当に起きてましたから!!」
「ホゥ…ではどんな夢を見ていたんだ?」
「いや~なんとなく気持ちのいい夢だったんですが…人間…いや私は使い魔ですけど寝ている時の夢なんざそうそう思い出せるものじゃ……ハッ!!」
「フンッ!!」
ベシンッ!!
「はぅわぁ!!」
少女にしか見えないレティシアのビンタで17、8歳に見えるかなり体型のいいメアの体が簡単に張り飛ばされる。
「うぅ…ヒドいですよぉレティシアお嬢様…」
10メートルほど転がされた所でメアは起き上がった。
「なにがヒドいですよ~だ!!お前、自分の役割がわかってるのか?」
「あ…えっ~と…」
今度は言葉を詰まらせるメア。
「まぁいい。吸血鬼狩りだのなんだの面倒な時代だが私の所には滅多に人は訪れないからな…」
「はぁ…して、屋敷の主でもあるお嬢様はなぜここ(門外)までいらっしゃったのですか?」
「別に。散歩だ」
「はぁ…散歩ですか…そんな大層な日傘を持って?」
レティシアはとても大きな日傘を持ってさしていた。
「別にささなくてもいいんだぞ?ただしそうするとこうして太陽の下を歩いていると私は気化して死ぬんだがな…お前は主に死ねというのか」
「い、いえ!!滅相もございません!!」
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