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「ふん…全ては忌々しい太陽のせいよ…いっそ消してしまおうか」
「お嬢様が言うとシャレに聞こえませんよ」
「フフ…そうかもな。じゃあ私はしばらく1人で散歩してから帰る」
そう言ってレティシアは歩きだそうとする。
「あの…お嬢様私も一緒に…」
「私は1人でと言ったんだ。ついてこなくていい」
「そう…ですか…」
少し落ち込んだ様子のメア。
「…私が屋敷からいなくなると中に残してきたルナが心配だな~」
わざとらしく言うレティシア。
「メア」
「は、はい!!」
「今日は暑いしもう門は閉めて中でルナの相手でもしててくれ」
「は、はい…しかし…」
「なんだ…まだ文句があるのか?」
「いえ…その…」
「なら仕方ない。美味しいご飯でも作っててくれ。それで私が散歩から帰ったら…ルナとお前と"一緒"に食べるぞ♪」
「…!!は、はい!!」
「うむ。じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
「……あ」
「どうかしましたか?」
「料理にニンニクは使うなよ」
ビシッと指を指すレティシア。
「使うもなにも…お嬢様の意向であのお屋敷の食糧庫にニンニクはありませんよ」
メアもニコッと笑い、返す。
「そうだったな…では今度こそ行ってくる」
「はい。今度こそ行ってらっしゃいませ」
こうしてメアは日傘をさしながら散歩に出かける、小さく心優しい主人を見送るのだった。
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