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☆☆☆
レティシアは山を下り人里に降りようとしていた。人里に降りて人間とたまに話したり、触れ合ったりするのがレティシアの楽しみの1つなのだ。
「しっかし太陽の日差しが凄いな…」
つい愚痴を漏らす。
この精霊であり吸血鬼でもあるこの身体は夜は強靭!!無敵!!最強!!なのだが昼…特に太陽が照っている時は本当に弱い。まぁ屋内にいればそれも問題ではないのだが…
「飛んでいった方が早いのだろうがそれも人里に降りる時にはできないしな…」
この世とは不思議なもので人間達はなぜか"外れたモノ"…自分達の常識から逸脱したものを嫌う。今この時世、人間達から嫌われているのは吸血鬼であるため、レティシアは人の前に姿を現す時は翼をしまい、牙は引っ込めなくてはならない。
「まぁ…そういう窮屈さが多少あっても、人間という生き物は実に興味深く、実に面白いんだよな…これだからやめられん♪」
クフフ…と漏れる笑いを浮かべながらレティシアは足を人里へと向けるのだった。
☆☆☆
「う~ん…料理か…何にしようかな…」
屋敷の厨房ではメアはレティシアの夕食を何にしようか迷っていた。元来料理は得意ではないので作れるものも限られてくる。
「こんな時、料理が得意なメイドがいればなぁ…大きな屋敷なんだから人間のメイドでも雇えばいいのに…ってこのご時世、そういう訳にいかないか」
人間は吸血鬼を毛嫌いしている者も多く、中にはヴァンパイアハンターを名乗り吸血鬼を抹殺する人間もいるらしい。
「ま…お嬢様は吸血鬼でもそんじょそこらのとは格が違うからやられるって事はないだろうけど…」
「そこにいるのはだぁれ?」
メアは独り言を呟いていると不意に後ろから声をかけられた。
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