『やがて青い空の中に』

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『やがて青い空の中に』

独り言の様に 喋る君が好きだった 悲しげにうつ向いても ぼんやりとひざをかかえても 君は君の世界があってさ 説明なんて無くても 分かり合えるでしょうと そんなふうに 私を想う君が愛しかった そして誇らしかった そんな君の傍にいるのが 私なんだってことが ただ見つめ合う時間も 手を繋ぐ瞬間も ほんのわずかで 君は数少ない言葉を必死に 探しては つなげて 話してくれていたのにね 心残りはやがて あの日の青い空の中に あの夏の日の風の中に 消えてゆくのでしょう 消えてゆくのでしょう 私の恋は‥ 君が言う 「どうしても」が 心地よかった そうでなくてはならない と 私を縛り付けたりしない 君がたまに言う 「どうしても」が もう一度 聞きたいよ‥ .
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