『ウソツキ』

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『ウソツキ』

遠回しなサヨナラしか 方法が思い付かなかったんだよ あなたの前では 「泣かない」って決めてた さりげなく触れてみた あなたの指先 ずいぶん私の事を 寒い中待っていてくれたんだね 私に何の心配も 負担もかけないようにって 無理な笑顔なんか 作っちゃって‥ そんなに優しくしないでよ 胸の中でずっと こらえていた熱いモノが 今にも込み上げてきそうだよ もうサヨナラだから ちゃんとお別れ したかったね でも こうゆう方法でしか もう今日は 離れられないと思ったんだ ぎゅっと抱き締めて ワガママ許されるとしたら‥ 言って欲しい事が あるんだ、一つだけ だらしのない毎日 あなたという存在に 潤されてきた 分かっていたんだよ 分かってたの そんな事 あなたが私の歩くこの線上に 必要な人なんだって事 ちゃんと素直になれたのに 素直に「すき」と言えたのに 言い訳も屁理屈も無く 心から「すき」と 言えたのに どうしてサヨナラは こうやって複雑な言葉を たくさんたくさん くっつけなくちゃいけないの もうあなたしかいないのに 「好き」「すき」「スキ」 心の中で何回も スナオに浮かんでは 消えてゆくの あなたの前では 「泣かない」の 決めていたんだ 「お願い独りにしないで」 もしそうやって言えたなら あなたは振り返って 抱き締めてくれるよね でも言えないよ 口から出てくるのは ウソツキな言葉だけ 遠回しなサヨナラ 二人 傷付く事は それほど無いのに ポッカリと心に 穴が空くみたい こんな気持ちでいるのは 私だけ? あなたも同じ気持ちで いるのなら 言って欲しい事があるんだ 「変わらないでいたい」 って。 ウソツキな私に。
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