別れ

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──同時刻 ギュウ… バシャバシャン アキラはずぶ濡れになったブレザーを脱ぎ、キツく絞って水気を抜く。 ハックシュン!!! 「うぅ…さみー…。」 ブレザーを絞り終えると、次にカッターシャツを脱ぐ。 バチャバチャ カッターシャツは川でゆすぎ、軽く絞った。 凍てつくような寒さの中、それを手に体を小刻みに震わせて夏樹の横に座る。 「痛いかな?痛かったらごめんな。」 そう言ってアキラはカッターシャツで夏樹の顔についてる血を拭く。 「ん?」 拭いた後に、なにか違和感を感じた。 ゴシゴシ 違和感を感じたまま次は腕を拭き、その次は首を、足をと拭いていく。 「!!?」 綺麗に拭いた夏樹の姿に、アキラは目を疑った。 (な!?え!?何で? な、何だよこれ!?) 「傷が………ない?」 咄嗟に血まみれのシャツを確認する。 「なんで!?こんな…夏樹はあの時…!?」 (…夏樹から血が出てたんじゃなかったのか!?) (え!?…だめだ…頭がついてこない…。) (じゃあ、今夏樹は疲労で寝てるって事か!?) 「な…夏樹!?」 スゥー スゥー (……。) 夏樹から 小さな寝息が聞こえた。 「な……。」 アキラは夏樹のブレザーの襟を両手に持つ。 グスッ 「なつきぃズズッ。」 安心感から、 ポタポタと目から出る温かい水滴が ブレザーを持つ両手にゆっくりと落ちる。 ズズッ .
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