prologue

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 すぐにケータイが鳴った。放っておいた。高崎や前橋に入ればもっと危険だ。連中の息が掛かっている。裏切り、億の金を一人占めして逃げていると、奴らは血眼になって探すだろう。 「なあ、聞いてくれ。お前を助ける。俺は仲間を裏切った」  後部座席の少女に真二は言った。 「追われてるのは、俺もお前も一緒だ。分かるな?」  車を路肩に止めた。ここならガードレールを越えて高速の外に出られる。 「誘拐して身代金を取ろうとしたんだ。だけどお前は別人だった。それに気付いたのは俺だけだ」  後部座席に移った真二は、少女の手足の縄を解きだした。「別人でしたなんて、そんな真実も通じない連中だ。捕まれば、俺もお前も消される」
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