2/2
前へ
/46ページ
次へ
夏休みに入って6日、親戚の美弥子おばさんのお店を手伝い始めて3日目です。 きっかけは何て言うか、まあ、家でだらだらしていた私を、たまたま私のお家に遊びに来ていた美弥子おばさんがですね、見兼ねてですね、 「ほんで何で、持田がいるのさ」 「おい、お前、俺らが幼なじみ設定なのを忘れたのか」 なんだよー、それー。 だからなんなんだよー。それと今店に入り浸っているのは関係ないじゃないか。 「んで、雲雀のことは、」 「またか」 だからもうどうでもいいんだよー。 美弥子おばさんは、小さな和菓子屋さん(いや小さなって悪い意味じゃないよ!)を開いている。ここで作っているんじゃなくて、県外からの和菓子のお取り寄せ品を紹介して、実際に売ったりしてる。どちらかというと、美弥子おばさんは雰囲気を重視していて、さりげなく飾られたお洒落な風鈴とか、店の前にある金木犀とか(まだ葉っぱしかないけど)一つ一つが、私もすきで、本当、美弥子おばさんとは好みが合うと思う。 金木犀をみたら、まだ葉っぱもたくさんついているわけじゃないのに、時期なんて9月とかなはずなのに、何故か落ち着く。 「俺は物知りなんだぞ」 「まあ素敵」 「おう、素敵だろ。雲雀も金木犀が好きなの知ってんだからな。」 「まあそれは知らなかった」 「お前は、自分はひばりひばり言ってるときが1番かわいいの、しらねぇのかよ」 滅多にない顔、無駄にすんなよ 金木犀から目を離して持田をみたら、真面目な顔をしていた。最近、なんだかこの顔、よくみるなあ。持田は夏休み入ってそんなに間もないというのに、もう日に焼けている。汗も軽くかいている。でも不思議と爽やかに感じる。私は目の前の物知りさんに、笑ってあげました。 「…なーに、言ってんだか」 夏休みに入って6日、雲雀くんがいなくなって13日目です。 (夏休みのはじまり)
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加