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  「え」 「だから、別れてほしいんだよ」 目線は、自然に紫乃の目というよりも頬にあった。 高揚した頬が一気に沈静したのを自分の目でみた。彼女の目は、今は見たくない。 「いやだ。別れない」 少し目を合わせる。 彼女の目は、随分予想とは外れ、ただ強かった。僕の目線はさっきと同じ所へ戻った。 こんなにきっぱりと言われるとは思わなかったな。君はやっぱり、弱くなんかなかった。力持ちとか、そういうわけじゃなくて、女の人として強い。 「君のこと嫌いになったんだよ。」 「やだ。そんなこと言ったって別れない」 「どうして」 ねえ、君には笑われちゃうかも知れないけどさ。おかしいんだよ。 悪い予感がするんだ。今こうしておかなきゃもっと紫乃が傷付きそうな気がする。…気がするってレベルならまだ僕は君を離さないな、。もっと、断言できるくらいに悪いことが起きる。頭がガンガンする。こんな処置でもとらなきゃ、これからも僕の頭はガンガンする。 紫乃が言った言葉を頭の中で繰り返した 嘘だもん。私のこと嫌いじゃないくせに もう一度言おう。君は強いよ。目も、僕の全てを見透かしていそうで、(案の定見透かされていて)見てほしくないんだ、僕を、僕より強い君に。 「雲雀君からの…、雲雀君からの、初めての頼み事で嬉しかったのに…」 ねえ頭の頭痛、とめてよ。 そうだよ、君が傷付くのが嫌なんじゃなくて、それを見る僕が傷付くのが嫌なんだ。 (わかりあえないふたりのはじまり)
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