【J】

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クラブの音がズンズン響くトイレの中、ひとつだけ扉が閉まった個室が見えた。 多分かめがいるであろう個室の前まで来てノックしてみる、 -コンコン- 反応がない、まさか寝てんのか?吐いてんのか? 「かめ?いんの?」 ガタン、大きな音がした。 「…え、仁?」 「あぁ、何、酔ってんのか?大丈夫か?」 「あ、あぁ。大丈夫、今、今出るから。」 何か様子がおかしいと思った。それから2、3分ぐらいして個室のトイレの扉はゆっくり開いた。 「何、腹でも痛ぇの?」 「あ、ううん。少し酔っちゃっただけだから。」 ジャー、手をひたすら洗う亀梨。そのまま口に水を持ってってうがいをしている。 「?喉、痛いの?」 「ん、少し。」 変わった様子はないけど何かが変だ。何が変なんだ?いつもならすぐ気づく変化に気づかない自分も変だ。酔ってんのか、俺。考えていたら鏡越しの亀梨と目が合った。少し赤い目。 「いつから、トイレいたの?」 なんとなく聞いてみた。普通に答えてくれると思ったから。 「…えっと、さっき、かな。」 ほら、変だ。目逸らされた。なんで?なんかあったのか?酔ってる頭で考えても答えがでない。 「あのさ、俺、帰ってもいいかな?」 「は?」 「…体調悪いから。」 「じゃあ、俺も。」 「仁は、まだ居なよ。仁のために集まってくれたんでしょ?俺は、帰るね。」 トイレから出て行こうとしたかめの手を掴んだ。ほんのりピンク色の頬したかめが振り向く。何?そう聞いている目。離せ、そうも言っている目。 ごめん、離さねぇよ。だって久しぶりに夜のオフが重なってさ、帰んの?一人で?何もしないで?は、ありえないね。 「…俺ん家来ねぇの?」 「体調悪いから、ごめん。」 何断ってんの。ごめん。って何、笑わせんなよ。お前の変わりなんて腐るほどいんだよ。上から謝ってんじゃねぇよ。むかついた。いつもならむかつかないことでむかついた。酔ってるからなのか、今目の前にいる亀梨和也を壊したかった。 酔っていた、なんて理由にならないひどい抱き方でかめを襲った。  
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