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数十秒位走った所で俺は止まった。
ここまで来れば大丈夫だよな。
走ったせいで少し息切れしている体を落ち着かせていると、愛佳ちゃんが俺に向かって話して来た。
「その……政宗さん。手、痛いです」
「っあ。ごめん」
俺は裕太から逃げる際に、愛佳ちゃんの手を握ってしまっていた様だ。
気付かなかった。
とりあえず裕太に愛佳ちゃんと付き合っている事はバレたく無かったから必死だったんだ。
あいつ結構口軽いからなぁ……
「っで?どうしたの愛佳ちゃん?」
「はい。政宗さんがそろそろ帰って来るって聞いたんで、迎えに来ました♪」
「聞いたって……誰に?」
「唯ちゃんですけど?」
え?
……。
えぇぇぇぇ!!
「っえ?何?どういう事?友達なの?」
「はい!!同じクラスです!!でも、ビックリしました……まさか唯ちゃんのお兄さんが政宗さんだった何て」
いや、俺の方がビックリだよ!!
「あぁ……え~と。学校が休みだから遊んでいたと」
「はい♪」
「ちなみに俺達が付き合ってるって事は?」
「言ってませんよ?」
良かった。
少し救われたな。
まさか唯と同級生とは……
「っで。お迎えって?」
「愛佳、政宗さんの彼女何で、お迎え位当たり前かなぁ~って♪」
「あぁ……ありがとう」
俺の……彼女ねぇ。
「とりあえずここで話すのも何だし。送って行くよ。家近いの?」
「はい!!そこまで遠くは無いですよ」
そう言って俺達は歩き出した。
せっかくだし、これを機に愛佳ちゃんの事をもっと知った方が良いかもな。
お互いに恋愛感情が無くても、何だかんだ恋人同士。
知る必要はあるはずだ。
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