307人が本棚に入れています
本棚に追加
入園してすぐに俺は思った。
前もここに来たんだよな……
愛佳ちゃんのお姉ちゃんと。
おっと、ブルーな気持ちは拭い去ら無いとな。
愛佳ちゃんに心配かけるわけには行かないし。
「何か見たい動物とかいる?」
「ウサギさんが見たいです!!」
「ウサギかぁ~……。そうなるとふれあいコーナーだな。良し、行こっか!!」
俺は少し前に来てるからだいたいの場所は把握しているので、愛佳ちゃんをふれあいコーナーまで案内した。
―――
「わぁー!!見て下さい!!ウサギさんがいっぱいいますよ!!」
目をキラキラと輝かせながら愛佳ちゃんがはしゃぐ。
喜んで貰えるとデートに誘ったかいがあったってもんだな。
「餌をあげる事も出来るんだよ!?買って来るから待ってて!!」
そう言って俺は餌を買いに行き、数分程で愛佳ちゃんの元に戻った。
「君は美味しそうに食べるね~♪いっぱいあるからね」
餌をあげながらウサギに話し掛ける愛佳ちゃん。
ちなみに俺はそれをベンチに座りながら見てるだけ。
「政宗さんも一緒に餌あげましょうよ!!カワイイですよ!!」
愛佳ちゃんが手招きしながら俺を呼ぶ。
「俺は良いよ」
「ダメです!!ウサギさんも「政宗さんから餌が欲しいよぉ~」って言ってますよ!!」
うさぎを抱きかかえながらウサギの気持ちを翻訳して来る。
「分かったよ」
俺は愛佳ちゃんの元に駆け寄り、抱きかかえられているウサギにそ~っと餌を与える。
「政宗さん、もしかして怖いんですか?」
「いや……その……噛まれたら痛いじゃん?」
クスクスと笑いながら愛佳ちゃんが話す。
「政宗さんカワイイですね♪大丈夫ですよ!!」
俺がカワイイ?
普通の人から見たら単なるチキンだよ?
最初のコメントを投稿しよう!