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「お邪魔しま~す……」
俺は恐る恐る姫路宅の玄関に足を踏み入れた。
心の中ではまだ不安を拭いされないよ。
姫路さんを信じて無いわけじゃ無いが……
ここで急にお父さんが登場とかしたら、まさにサプライズだよね。
そのままにこやかに歓迎ムードならまだしも……
娘の元彼、そして妹の現彼氏何て言ったらにこやかじゃ済まされ無いよ。
そんな話しを聞いて笑顔でいられたら相当器のデカい人だよ。
そんなに器のデカい人なら明日死にますって言われて「よっしゃー」とか言えちゃうね。マジで。
俺がそんな事を思っていると、姫路さんはこちらを振り向く事無く冷たく発言した。
「愛佳の部屋は2階。部屋にひらがなで『まなか』ってプレートがあるからすぐに分かると思うよ。それと……変な事はしないでね」
「しないよ。ってか……その……愛佳ちゃんと俺の関係を説明させ――」
俺はそこで言葉を濁した。
関係を説明すれべきかどうかを悩んだからだ。
俺が悩みながらウジウジしていると、姫路さんはリビングらしき部屋に入って行ってしまった。
「はぁ~」
俺は小さく溜め息を漏らした後に姫路さんに言われた様に愛佳ちゃんの部屋を目指して階段を上った。
「『まなか』……。ここだな」
俺は意を決してドアをノックした。
ノックと同時に愛佳ちゃんの「は~い」と言う声が聞こえる。
良かったぁー!!
姫路さんを疑うわけじゃ無いけど、お父さんの部屋と愛佳ちゃんの部屋のプレートを交換して俺を地獄へ導こうとする罠を張ってるんじゃ無いかとドキドキしたよ。
ノックした瞬間に野太い声が聞こえたらどうしようかと心配になったね。
まぁ親は今いないらしいが。
姫路さんがすんなり家に入れてくれた辺りから全てが信じられない。
疑心暗鬼だね。
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