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そんな邪悪な心を胸に抱きながら俺は愛佳ちゃんの部屋の扉をそ~っと開けた。
「失礼しまぁ~す……」
部屋に入るなり俺の目に飛び込んで来たのは動物のぬいぐるみが所狭しと綺麗に置かれたメルヘンな部屋だった。
そう言えば唯の部屋もこんな感じだったな。
全ての小学女子の部屋がこんな感じだとは思わないがイメージ通りの部屋だな。
そしてこの部屋の主、愛佳ちゃんはと言うと……
ベッドに上半身だけを起こし、肩からからはカーディガンを羽織り、おでこには冷えピタと言う風邪をひいた人の模範になる様な格好でこちらを見ている。
何となくいつもより頬は赤く、ボーとしている気はするね。
でも良かったぁ~。
愛佳ちゃんの声真似をしたお父さんじゃ無くてさ。
俺が愛佳ちゃんの部屋の感想を心で思っていると、愛佳ちゃんが少し慌てた様に話して来る。
「政宗さん……忙しいのに、来て貰っちゃった見たいで……ありがとうございます」
「っあ。別に良いよ?忙しくは無いからさ」
まぁ頭の中はいろんな意味で混乱続きで忙しいけどね。
それより愛佳ちゃんはとても辛そうだ。
そりゃそうだ。
だって39$だもんね。
俺には想像も出来ない苦しみに違いない。
「とりあえず、無理して体を起こしてる必要は無いよ?俺に構わずゴロンと寝て寝て!!」
俺のその言葉に反応する様に愛佳ちゃんは体をベッドに寝かせ、布団を上半身まで持って行った。
「何か……すいません。せっかく来て頂いたのにこんな格好で……ッケホ」
「気にしないで。病人何だから他人より自分の事を心配しなさい」
「あ、ありがとうございます……ッケホ」
時折咳き込む愛佳ちゃんを見てると、何だか無理して話している様に思える。
とても辛いはずなのに。
だって39$――
それはもう良いや。
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