0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
ある夏の日のことでした。
空は雲ひとつなく、青く澄みわたっていました。
男の子は公園でブランコ遊びをしていました。
青のシャツに緑の短パン、頭には麦わら帽子をかぶっていました。
すると突然、
ビュー
風が駆け抜けました。
帽子は男の子の頭をはなれ、風に連れ去られてしまいました。
男の子は慌てて帽子を追いかけました。
帽子はハタハタときらめきながら、北の空にすうっと、消えていきました。
仲良しの友達が引っ越すときにくれた、大切な大切な帽子です。
男の子は泣きました。
帽子をなくした悲しみよりも、何もできなかった自分がたまらなく悔しかったのでした。
そのとき、フッ、と風が頭をなでました。
ヒンヤリと冷たく温かい感じがしました。
最初のコメントを投稿しよう!