屍、生誕?!

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 牙城の地下では、臣下と帝王が一点を見つめ手を取り合っていた。 「この行いは歴史に名を残すだろう。」  帝国の史実に泥を塗った最低な男。  と、表されるかもしれない。  だが、もしこの行いが後生に対し良き影響を及ぼしてくれるのならば、  英傑、英雄、勇者、真王などと記されることだろう。  言い切れるだけの自信と覚悟はあった。 「永きに渡るこの戦争。革変の時はきた」  眼下には生物の亡骸が無造作に投げ捨てられており、その周りを陣で囲っている。 「来い」  声を発すると同時に亡骸達が呼応するように震え出す。カタカタと鳴るその様子は恐怖以外のなにものでもないものとなる。  亡骸の震えがいつしか地響きへと変化し暗黒の地の全てを揺らす。  震えていた亡骸は次第に形を作り出しており蠢いている。その様相もまた恐怖である。 「来ぉぉぉぉい」  再び、呼応するかのように亡骸がある形を象り始める。
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