主、決意す

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 いつからか、全てを統べる者が人間からは<魔王>魔界の者達には<帝王>と呼ばれる様になる。  毎年、魔界・人界から途方もない数の殉職者が没する。魔界の人口は減る一方だが人界ではなんら変化が見られない。  人間の繁殖力は魔界の者に比べ格段に高く、この戦いが長引けばいつしか魔の者は滅びゆくだろう。  だからこそ早急にこの戦を終わらせる必要があった。  だが、今の現状は一進一退である。  降伏すれば滅びることはないだろう、だが我々の扱いは相当悲惨なものになる。それを分かっていながら認める輩はこの地にはいない。  現状打破、それが代々の帝王達に課せられた命である。  だがその命はついぞ叶えられてはいない。  先代も先々代そのまた先代にも叶えることは出来なかった。  代々の命を叶えること願わずに没した者はさぞ悔しかったことだろう。  そして現帝王もその命を叶えるべく苦悩している。
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