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「へ、陛下今なんとおっしゃいましたか」
驚愕を露わにさせているのは従順なる臣下達。されども現帝王の言動には反感を覚えずにはいられなかった。
「何度も言わせるでない。よいか、我が軍の兵の遺体と仇の卑しき骸を大量に収集せよ」
自軍の兵士達の遺体を集めることは至極真っ当なことである。没した兵の親族のためだからだ。だが敵である人間の骸など焼いて煤も残らないぐらいにしたい憎い物だ。そんな物をわざわざ集め何をしようと言うのか。それに没した兵士に対する尊情も疑われてしまう。
そう思っていた臣下達は帝王の次の言葉を聞いて先程とは比べ物にならない驚愕を得る。
「皆の者は知っているだろう。禁忌の存在を」
禁忌とは倫理に下せると考えられ封じられた下法。至法はあまりにも残虐で悲惨で怨情に満ちている。
そんなものをどうしようと言うのか。
「禁忌を犯す。下法だということは知っている。だがこの地は時間と共に滅びゆく。それをさせない為にも、帝王という存在に泥を塗ってでも此度の戦を終わらせる必要があるのだ。」
臣下達は自身の主たる者の顔を見た。
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