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「あれっ。ったく情けねぇ奴だな、外にでやがったか……総司は気の弱いところがあって、だから試しに連れてきたんですが。」
「俺、様子見て来ます。」
「放っておいてください。それより晋太郎殿はおひい様のお手伝いのが重要です。」
微塵も心配する気配を見せなかったと思いきや、言い終わるとすぐに土方はぷいっと外にでていった。
「あ、あった。頭部外傷だ。」
解剖を却下されてからずっと頭部を丹念に調べていたひいが、遺体の耳裏を見て明るく言った。
晋太郎と役人がひいの指差す耳裏を見ると、打ち身のときに見られるような皮膚の変色があった。
暗赤色で、耳と垂直に伸びる直線状の変色だ。
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