一章 7時05分

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物思いにふけっていると一人の男が目についた わずかに動いているようだ 周りの人には気付かれていないようだが… 少し先の男だけ気が付いている様子だ あっちの男は恐らく私服刑事 あの手の奴等は沢山の人の中でも目に付いてしまう 本業のせいだろうか? チラッとだがその男を見る目付きが違っていた 耳のイヤホンは恐らく無線 …なるほど 動いている男の方に電車が揺れる度に近寄った 『辞めとけ。刑事が見ている』 その男にだけ聞き取れる声で囁いた 男の手が止まる… 少しして電車が止まった、駅に着いたようだ 『すみません。降ります』 その男の近くでそう言った 俺は声質を変える事が出来る 女の声でも老人の声でもなんでもござれさ 人が降りて行くのに紛れて俺も降りた
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