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物思いにふけっていると一人の男が目についた
わずかに動いているようだ
周りの人には気付かれていないようだが…
少し先の男だけ気が付いている様子だ
あっちの男は恐らく私服刑事
あの手の奴等は沢山の人の中でも目に付いてしまう
本業のせいだろうか?
チラッとだがその男を見る目付きが違っていた
耳のイヤホンは恐らく無線
…なるほど
動いている男の方に電車が揺れる度に近寄った
『辞めとけ。刑事が見ている』
その男にだけ聞き取れる声で囁いた
男の手が止まる…
少しして電車が止まった、駅に着いたようだ
『すみません。降ります』
その男の近くでそう言った
俺は声質を変える事が出来る
女の声でも老人の声でもなんでもござれさ
人が降りて行くのに紛れて俺も降りた
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