一章 7時05分

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その男は振り返っているようだが気付かれてはいない あの程度の男に気が付かれるようでは俺の”本業”はやっていけない それにサラリーマン万歳だ、似たような人が多過ぎる ホームを降りて駅を出た 盗みとは”美学”あんなのは盗みとは言わない あの男が”スリ”をして捕まるのはどうでもよかったが 俺の前では辞めといてもらいたい なにせ”美学”があんなものであっては貰いたくはないからだ ”華麗に相手を出し抜く” そこに俺の美学が存在している カネが欲しいだけの盗みとは違う そこに隠された悪事を暴き動揺しているその隙に盗み出す いつ盗んだのかさえ気付かせない それが俺の盗みの美学!
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