2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
爽やかな朝、街道は学校に登校する生徒たちで賑わっていた。
「飛鳥!おはよっ!」
よく通る声に後ろを振り向けば、そこにはよく知った幼なじみが立っていた。
「今日は早いんだな、理恵」
「まぁね」
自信たっぷりに言う彼女に、つい笑みが零れる。
「いつも遅刻ギリギリなのに」
「なっ…もー!酷いっ」
「あれー?兄貴たち…」
背後から聞こえた声に、飛鳥と理恵は、立ち止まる。
嫌みな笑みを浮かべながら近づいて来たのは、大和だった。
「お二人で仲良く登校ですかー?」
「大和!」
「バカなこと言わないで!」
「兄貴もさ~いい加減素直になれば?」
そんな他愛もない朝のやり取りが、彼等の日課であった。
--俺たち三人は幼なじみで、高校まで同じという、腐れ縁の仲だった。
理恵は同級生の幼なじみ。
大和は一つ下の俺の弟。
ただ毎日一緒に居て。そんな毎日が楽しいんだと、確かに俺はそう感じていた。
あの日までは…。
楽しく談笑しながら登校する三人の中で、ただ一人、立ち止まる者が居た。
革靴に巻かれたアクセサリーが、チャリ、と鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!