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何かが、倒れる音がした。
草むらに、血溜まりが広がっていく。
「…は、ははっ…
あははははははっ!!」
--周りの音が、遠ざかっていく。
雨の音だけが、うるさいくらいに耳に響いた。すると突然、静寂が訪れた。
「死にたくないか」
(……誰…)
虚ろな目には、何も映ってはいない。
「あるいは、死ねないのか」
(……俺…は……止め…なきゃ…、あ…いつ…を)
「いいだろう…確かに望み、受け取った-…」
無音だった世界に、すっと音が戻ってくる。
霞んで見えなかった視界が、今ははっきりと世界を映していた。
「俺…は…?」
呆然として当たりを見回すが、暗い林が広がっているだけだった。
「…にき
あ…にき…」
すると、消え入りそうな声が耳に入ってきた。
「どうして…俺の…
俺の…体……」
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