第1話

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はっとして自分の身体を見る。 着崩された制服、血に染まった両の手-…、それは紛れもなく大和のものだった。 「俺じゃ…ない…?これは…大和…」 「なんでだよ…なんでだよぉぉ…?」 苦しげに顔を歪め、こちらに手を伸ばす自分。 徐々に生気の失われていく自分が、瞳に映っていた。 「返せよ…、か……」 やがてそれは、事切れた。 --まるで 時が止まったようだった わからない 何も 考えられない 全て (聞こえないんだ、音が) --目の前で崩れた自分 でも生きている俺 (見えているものは 何だ…) 「哀れな男だ。自分で与えた傷が仇となったな」 すると、倒れた自身の体の背後に、先程の男が現れる。 雨に濡れない、男であった。 「俺はクロノ。どうだ?弟の体は…」 そんな非現実な状況の中、飛鳥は自分でも驚くほどに冷静だった。 「雨に…濡れない、男-…、人じゃ…ない…?」 クロノと名乗った男は、笑みを張り付けたままで口を開く。 「気になるか、俺のことが…。まぁ、まずはお前のことからだ」 「俺の……」 「まるで無頓着だな。お前自身のことだというのに」 少しも突っかかってこない飛鳥に、鼻で笑いながらも言葉を続ける。 「よく、聞け。お前の体と弟の魂は死に、弟の体とお前の魂は生きている」 「……なんだって…?」 --何を、言ったんだ、この男は。 「弟の罪は、兄を殺したこと。お前の罪は、死ねないと願ったこと」 「--…!」 「……俺の話は止めた方が良さそうだ」 驚きで目を見開く飛鳥には、もうほとんど耳に入っていなかった。 「さあ、これからどうするかはお前次第だ。どう生きるかも全て、な-…」  
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