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「え…えっと…」
「さらに言えば、その者と、宝玉の持ち手であるそなたには、何やら因果があるやもしれぬ。なればその者が光明、ぬしを狙うであろう事は必然となってくるであろう、その為には……ん?どうした?」
天狗は目を丸くして自分を見ている光明に気づき、言葉を切った。
「…あの…何言ってるのか…わかんない…」
光明は恥ずかしそうにうつむき、ポツリポツリとつぶやいた。
「む…どこがわからなかったかな?」
「あの…えっと…」
「お師さん、そいつまだガキでっせ。そんな言い方でわかるわけないですやん。ワイが説明しますわ」
二人の問答を端で見ていた天丸が口を挟む。
光明は天丸の方を向いた。
「ええか光明、鏡を見つけたら、お前は帰れるかもしれへん。ここまではええか?」
「う…うん」
「けどな、その鏡は、今悪いヤツが持っとるかもしれへんねん」
「悪者?」
「そう、悪者や。悪者に、貸して~、て言うて簡単に貸してくれる思うか?」
光明はすぐに、思わない、と答えた。
テレビでも悪者はいつもそうだったからだ。
「そうやろ?しかもやな、その悪者は、お前の持ってる玉まで狙っとるかもしれん。お前、玉取られてもええか?」
「や…やだ!」
「嫌やろ?けど悪者は、そんな事言うても取っていきよる。取られん為には、お前が強なって、お前が守らんとあかん」
「強くって…どうすれば強くなれるの?」
「その方法を、お師さんが教えてくれるっちゅうわけや、けど、その為には、一つやらなあかん事がある」
そこまで言うと、天丸は天狗の方を向いた。
光明も天狗を見上げる。
天狗は天丸に向かって頷くと、光明に語りかけた。
「光明よ、儂の目を見なさい」
天狗に言われた通り、光明は天狗の目を見る。
突然天狗の目が光ったような気がした。
その瞬間、光明は目の前が真っ暗になったような錯覚を覚え、その場に倒れこんだ。
意識が遠くなっていく。
天狗と天丸が、何かを言っているような気がしたが、光明の耳には、すでに聞こえていなかった。
天狗と天丸は、倒れた光明を見つめていた。
「お師さん、ホンマにこんなガキが試練を乗り越えられると思ってるんでっか?」
天丸が、天狗に疑問を投げかける。
「可能性の無き者に、試練など受けさせんよ。実は昨日、こやつの心を読んだ時、面白いものが見られてな」
「はぁ…オモロいもんでっか」
天狗は光明を見つめながら、
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