天狗の弟子に

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「ねぇ、天狗のおじいちゃんは?」 自分を強くしてくれると言った天狗の姿が見られない事に疑問を感じた光明は、天丸に尋ねた。 「お師さんは、ちょっと用事があって出かけとる」 「用事?」 「そうや、…光明」 天丸は光明の方に向き直った。 胡座を組み、腕を組む。 その姿に、思わず光明も姿勢を正す。 「お前は試練を乗り越えた。せやから、強くなる方法をお師さんは教えてくれる。せやけど、それだけやったらあかん。お前はこれからいろんな事を知っていかなあかん。わかるか?」 「う…うん」 天丸の言葉に光明は頷く。 天丸はさらに言葉を続けた。 「せやから、それを教えてくれる人に、頼みに行ったんや。まぁ、もうすぐ帰ってくるわ」 そこまで言うと、天丸は、姿勢を崩した。 光明も同じように姿勢を崩す。 光明は、疑問に思った事を天丸に聞いた。 「ねぇ、天丸おじちゃん。強くなる方法ってどんなの?」 「おじちゃん言うなや!ワイはまだ500年くらいしか生きとらん!お兄ちゃんって言え!」 「ご…500年!?」 光明は驚いた。 外見からは、年齢は判断できなかった為、なんとなくおじちゃんと呼んでみたものの、まさかそんなに長く生きているとは思わなかった。 「お兄ちゃんって呼べって…おじいちゃん通りこしてるよ!」 天丸の年を聞いて、光明は反論した。 500年という年月は、光明からしてみれば、途方もない年だった。 そんな天丸の、お兄ちゃんと呼べという言葉が、光明は理解できなかった。 「あのな光明、自分の中の当たり前で物事考えんな」 「自分の中の…当たり前?」 「そうや、人間にしてみたら、ワイの500年という年月は、おじいちゃんを通りこしとるかもしれん。けどワイらのような者からしたら、まだお兄ちゃんって年なんや。まぁ、妖怪にもいろいろおるから、皆が皆、そうってわけやないけどな。とにかく、相手の気持ちになって、考えるっちゅう事をお前は知らんとあかん」 天丸はゆっくりと光明を諭した。 「相手の気持ちになって考える…かぁ」 光明は天丸の言葉を繰り返した。 意味はあまりよくわからなかったが、なんとなく大切な言葉と思い、覚えておこうと思ったのだ。 「ところで、お師さんが教えてくれる方法やけどな」 天丸の言葉に、光明はハッとなった。 少し話しがそれてしまったが、本来それを聞きたかったのだ。 「お師さんがお前に教えるのは、
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