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「龍助さん…よかったら教えてもらえないでしょうか?幻の甲子園のことを」
「……それは」
「わかってます、形式的に高野連に歯向かうことなんですから…ですが」
幸助は頭を下げた
「知りたいんです!父があれだけ誇らしく語っていたあの話の全貌を!」
「……これは大きく言えば国の問題ですし…もし話をしたらどうするつもりですか?」
「これをなるべく多くの人たちに伝えていくつもりです。覚悟は出来てます」
確かに幸助に覚悟している様子は見られた
そして龍助は折れた
「…わかりましたあの夏の出来事を話ましょう」
「ほ、本当ですか!?」
「あれだけ熱心に頭を下げられてはね…」
「ありがとうございます!」
幸助は手を握ってきた
強く……かなり強く
「では……お願いします」
幸助はメモを取り出す
「あれは昭和17年の春……」
龍助はゆっくりと語り始めた
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