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「……二回も言わせるなんて」
案の定、佳奈衣はもじもじうつむいてつぶやく。
……これで諦めてくれ。
そう、半ば祈るように動きを待った。
壇上では、背の低い教授が騒がしさをものともせずマイペースに喋り続けている。
マイクが拾えないくらいのボソボソ声で、ある意味どちらが雑音かわからないくらいだった。
佳奈衣が、また上目遣いに僕を見た。
泣きそうな潤んだ瞳。
意外と色素が薄く、透き通ったままどこかへ消えていってしまいそうな瞳が、僕にまっすぐ向き合う。
キラキラと輝きを放つ。
「将太(しょうた)。わたしと付き合ってください」
また言いやがった。
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