彼女

9/31
前へ
/321ページ
次へ
「おはよう、佳奈衣。 髪、似合うね」 彼女は自慢げに伸ばしていたロングヘアを、肩の辺りまでバッサリと切り落としていた。 しかも、アッシュ系のカラーまで入れて、くりんくりんの鳥の巣カールだ。 ……もしかして、僕好みの女になろうとしているんだろうか。 大切にしていた綺麗なストレートをあっさり手放すくらい強く、僕を好きだってことなんだろうか。 「おはよ、将太。 ありがと。気に入ってくれて嬉しい」 語尾からハートを撒き散らしながら、佳奈衣は目を細めている。 気に入ったなんて、ひとことも言ってないけれど。
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

405人が本棚に入れています
本棚に追加