逃亡

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夜のすすきの。 繁華街に一つ、また一つ、 とネオンが灯りだす。 初めて見るすすきののネオンは、 歌舞伎町のそれとはまた違った独特な風情だった。 面接に足を運ぶと、俺を一目見た面接官は、 「是非今日から働いてほしい」と言った。 幼い頃から綺麗だの、カッコいいだの、言われ慣れてきたけど、 こういう時はこの見た目で本当良かったと思う。 お袋の面影を背負うこの顔は、 自分的には好きじゃないけど。 三軒とも即採用になったが俺は結局、 最後に行った店で働く事にした。 特別な理由はない。 ただ店の雰囲気が気に入ったのと、 店の名前が「セント(聖人)」だったから。 なんとなく、エニシ(縁)を感じたんだ。
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