逃亡

12/13
前へ
/833ページ
次へ
営業時間は11時から朝の6時。 面接をしてくれた店長は、 まだ出てきたばかりで住所が決まっていない事情もわかってくれた。 その日に働いてみたが、 店を終えたホステスと客がアフターで来る店だった。 当然、女同士の客も多かった。 女同士の客達は新人の俺を見つけると、 必ず席に呼んだ。 「カッコいい!」 素直にそう言ってくる客もいたが、中には、 「あんた新人でしょ。 飲めよ!」と、泥酔して突っかかってくる客もいた。 まぁ、そんなの慣れたもんだ。 だてに水商売をやってきたわけじゃない。 女客がアイスペールになみなみと焼酎をつぐと、 俺はそれを黙って一気に飲み干した。 「ごちそうさまです!」
/833ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24446人が本棚に入れています
本棚に追加