きっかけ

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  奴だ。 黒光りの奴が壁を這う。 奴をイニシャルで呼ぶ者もいる。 ゙G゙と。 名前を呼びたくないらしい。 その気持ちは恐らく誰にでも分かるだろう。 触覚を不気味に動かしている。 「ゴ...ゴキちゃん」 雄哉は可愛らしく呼んだが 可愛く見えない。 その瞬間 雄哉の頭には例の殺虫剤が思い浮かんだ。 幸い目の前にある殺虫剤。 雄哉は唾を飲み 殺虫剤を奴に向けひと吹きした。
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