第四話

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「トラス様、私がやりますから」 「あ、だが、ラシルの世話は私がやるべきで…」 「それはわかりますけど、それじゃ…焦げますよ」 「えっ」 「代わってください」 ラシル用の食事を作るために台所に立ったトラスだったが、あまりの手際の悪さにメイヤが助け船を出した。 (カルン殿は不器用と言われたが、やはり女性は違う…) 手慣れた様子で料理をするメイヤを見ながら思った。 「はい、出来ました」 「ありがとう」 トラスはお盆ごと受け取ると二階に向かった。 「何か、楽しそうだね」 部屋に入ると、ラシルが言った。 「突然、何だ?」 「ここさ、周りが静かだから、割りと台所の話し声って聞こえるんだよね」 身体を起こしながらラシルが言う。 「う…」 「ま、いいけどさ。カルンに頼まれたのは、兄さんだから」 「やっと、落ち着いたみたいだからな」 「うん、そうだね」 ラシルを助けるために、光の妖精の記憶を取り戻したカルンが屋敷を去った後、事情を知らされたメイヤは、突然のことに泣き崩れたのだ。 二度と会えないわけではないが、始終、傍に居ることは出来なくなってしまった。
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