第四話

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「お前は、生まれながらの光の長なんだな。私も覚悟を決めるべきかもしれないな」 「何の覚悟?」 「闇の長になる覚悟だ」 まさか、トラスからそんな言葉が出るとは思っていなかった。 「もう覚悟は決まってるもんだと…」 「まぁな。後を継ぐことに躊躇いはないが、今までは父さんが戻ってくるのを待ってたところがあったからな」 「そうなんだ」 「今の長だって、父さんが戻ってくれば座を返すつもりで、中継ぎをしてくださってたんだ。だが、父さんは死んでいたし、もう二度と会うことも無いだろうしな」 「え、だって守護者なんだから、その気になれば会えるはず」 ラシルは意識を取り戻した後で、すぐに深い眠りについたために、その後のことを知らなかった。 「ラシル、父さんはもう居ない」 「え…?」 「父さんはお前を助けるために、闇の妖精と同化した。だから、あの後、識格は消滅することになっていた…」 「そんな…」 ラシルは呆然となった。 「…なんで…そこまで」 「父親だからな」 「…だからって…俺のために…」 ラシルの目から涙が零れ落ちた。
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