閑話休題(1)

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「ねぇ、あの人誰?」 見習いの先輩に聞いてみた。 「あ、なんかトラス様の弟らしいよ」 「え、トラス様に兄弟がいらしたの?」 「うん、この間、光の賢者様がここに来てただろ、どうやら光の村にいたみたいなんだよな」 話がわからない。 闇の魔法使いであるはずのトラス様の弟なら、当然、闇の純血であるはず、光の村にいるのはおかしい。 しかし、先輩もそれ以上の情報は持っていなかった。 それからしばらくして、伏せられていた光の賢者様のことが、一部の見習いのおしゃべりのせいで、商人から王宮にまで伝わり、ちょっとした騒ぎになった。 当事者である見習いたちは、師匠からきついお叱りを受けた。 その時も、光の賢者様とともに闇の館に来ていた。何故、トラス様の弟が、光の賢者様と行動をともにしているのかわからなかった。 中庭で長の娘であるフィラシア様と、親しげに話をしていた。トラス様と従妹になるのだから、弟も従兄ということになる。 そこへ、件の見習いたちが走りより話しかけていた。 見習いたちが行ってしまうと、一歩遅れて館に入ってきて、まっすぐ長の執務室に向かっていった。
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