閑話休題(1)

4/7
前へ
/356ページ
次へ
見習いである自分が長の執務室においそれと近づくわけにもいかず、ことの顛末は当事者の見習いから聞いた。 執務室にいる光の賢者様に会いたいと言ったが、側付きの魔法使いに追い返されそうになり、押し問答しているところへ現れ、いとも容易く執務室の扉を開かせ、光の賢者様に会わせてくれたらしい。 この一件で、当事者の見習いたちとは親しくなったようで、挨拶を交わしたり、気さくに話に応じる様子などを身近に見る機会が増えた。 様付けに抵抗があるらしく、何度か断りをいれる言葉を聞いた。話す態度も、偉ぶった様子はなく気さくだった。 身近に接する機会が増えたおかげで、素性がだんだん判ってきた。 なんと光と闇の両方の長の直系であり、その両方の属性を備える稀な存在だったのだ。だから、光の賢者様とともに居たのだと納得できた。 しかし、一向に魔法使いらしい素振りは見られなかった。一人立ち間際になっても、ローブを羽織ることもなく、杖を持つ姿も見かけなかった。
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1007人が本棚に入れています
本棚に追加