閑話休題(1)

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久しぶりに身近に接して、以前とは様子が違っていることに気がついた。 トラス様に似てきていた。 兄弟だから似ていて当然なのだが、見た目の問題ではなく、雰囲気が変わってきていた。 次期長として、賢者を始めとする魔法使いの頂点に立つ者としての風格みたいなものが垣間見えていた。 でも相変わらず、気さくで偉そうな感じはしない。 「ラシル様」 「ん?」 「いつ、光の長をお継ぎになるんですか?」 「さあ~、まだまだ覚えなきゃならないことが山積みだからな~」 頭を掻きながら、困ったように答える。 陛下の視察にも随行し、これだけの魔法を使いこなしているというのに、まだまだだと言う。 器が違うと感じた。やはり、長を継ぐ者なのだ。 現存する唯一の光魔法の使い手… いつか傍近くに仕えてみたいと思った。
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