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「胃が…痛い」
朝から晩まで働き詰めの毎日。やり手だが個性が強過ぎる部下達。しかもその中でもまともだった奴までもが色惚けたせいで俺の胃は壊滅寸前。
「(駄目だ、明日は病院に行こう)」
せっかくの貴重な休みをこんなことに使いたくはないがこれからの一生を供に過ごす胃の為である、一日ぐらいどうってことはない。そんなことを考えながら足を進めるも、ザッザッと靴が磨れてしまうばかりで進んでいる気がしない。ああ靴が磨り減る、とは思うが中々疲れ切った足は上がってはくれない。
「(夕食…は、いいか)」
ちらりとスーパーを見ながら考えていれば、そのスーパーから自分の胃の痛みの原因が仲良く出てきたところだった。
「和さん、今日はもう遅いのでカレーでいいですか?」
「俺は勇斗が食べれれば満足なんだけどな」
「かか和さん!こんなとこで何言ってるんですかっ」
「こんなとこじゃなきゃいいのか?」
「和さんっ!」
「(こんの色惚け共がぁああああっ!!)」
部下達の会話に思わずガリガリと鞄から取り出した胃薬を噛み砕く。自分の胃の為にも出来るだけ姿を見ないようにアパートへ歩を進めた。
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