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ぶっさんの知りあいが経営してる居酒屋に来ている。
「バンビ、お前もどう?」
「ん…じゃあもらう」
カチッ
ぶっさんがライターで俺の咥えてるタバコに火を点けてくれた。
「ふーっ」
吐きだした白い煙を、消えるまで目で追う。
煙が消えると必然的に目の前に座っているぶっさんの顔が見えた。
同じようにタバコを吸っていて、ぶっさんの吸い方は様になってるな、カッコいい。
なんて、ボンヤリ考えていた。
「オイ未成年!若いうちからメンソール吸ってっとインポになんぞー?」
店のマスターがテーブルに料理を運んできた。
「マスター、コイツ童貞だから大丈夫だよ」
「言うなよぶっさん!」
「バンビくんビール飲む?」
「あ…ハイ、もらいます」
タバコとお酒を覚えた。
ぶっさんの影響で。
本当はイケナイことって分かってるんだけど。
‘悪いこと’って、やめられなくなる。
タバコなんてマズイし気持ち悪くなるし
お酒だって臭くて苦くて好きじゃない。
それなのに、最近ずーっとこんな生活が続いてる。
この年でタバコとかお酒とか、カッコいいし。
いや、本当は
ぶっさんと一緒にいる理由が欲しかったから。
俺の知らないいろんな悪いコト知ってて、カッコよくて、楽しくて。
俺…大好きなんだよな、ぶっさんのこと。
だから無理して悪いコトにもつきあっている。
「バンビ、今日…ウチ来ねぇ?」
「行く行く!俺ぶっさん家行くの初めてだよな!」
「そういえばそうだな」
ついでに泊まっていけよ、なんて言うから「泊まる泊まる!」なんて約束も取り付けて
「じゃあ早く食っちまえよ、俺のオゴリだから」
そう言ってさっき運ばれてきた‘ゴジラ焼き’の皿を俺の目の前にやった。
俺は早くぶっさんの家に行きたくて、ゴーヤを焼いただけの‘ゴジラ焼き’をあっという間に平らげた。
「マスター俺帰るから!ツケといて!」
…それオゴリって言わねぇぞ…
「ツケ払ってから言え!」
なんて怒鳴られてるけど…気にせずぶっさんは店を早々に出て行った。
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