第一章『絵本の国』

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ウィース・リーバーは、騎士派に所属する騎士だ。 騎士派とは、イギリス国内の三つの派閥の内の一つである。 今現在、彼が居るのは、やたらと凝った装飾品が目を引く、第一王女リメエアの住む部屋の前。 豪奢な扉の前で、リーバーは立ち尽くしていた。 彼は『一応』リメエアを護衛する近衛兵と言う役職だ。 王女を護衛するという仕事は、騎士としては大変なる栄誉であるが、リーバーの顔は実に暗い。 彼がここに来たのは、『第一王女リメエア』の存在を確認する為。 リメエアは極端な人間不信で、自らを王女と知る人間を信じず、自らを王女と知らない人間を信じると言う性格の持ち主であった。 もちろんそれは、近衛兵であっても例外では無い。
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