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「あら、この紅茶、美味しいですわね」
「そうかね、そいつはありがたい」
そう言い、上品な笑い声を上げているのは、髭を蓄えた初老の男性。
その正面には、片眼鏡をかけた三十代前半の美女がいた。
二人ともアンティークな椅子に腰掛け、手にはこれまたアンティークなティーカップを手にしている。
「いやぁ、貴女の様な淑女と談話出来るとは。人生もまだまだ捨てたものではありませんな」
そう言う初老の紳士に対して、美女は上品に微笑む。
「いえいえ、人生まだまだです。私よりも美しい方はおられますわよ」
長い黒髪を揺らし、そう謙遜する美女は、第一王女リメエア。
それに対し、初老の男性はただの平民。
今の様な言葉遣いをすれば、一瞬で極刑宣告を受ける事は確実だ。
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