Act.1 -日常-

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「私は…なんで妹なの…」 今にも消えてしまいそうな声が、聞こえた。会社を出て、急いで駅へ向かう。 「…っく、っ」 すすり泣きが聞こえる。 駅に着いた時、七海はコーヒー屋ではなく改札の少し先のベンチに座っていた。 通話状態を止め、携帯を閉じて七海にゆっくり近付く。 電話が切れたことで、七海は電話を見て焦っている。 その顔は、軽い泣き顔。 幼き日の…再会の日とは違った泣き顔。 「ふわ…っ!」 ──ぎゅっ… 座っていた七海の手を強引に引き、抱き締める。 幸い、周りには誰もいない。 「兄、ちゃん…?」 「…帰るぞ」 指を絡め、手を繋ぎ、 俺達はホームに向かう。 たまに、ある。 こういう事で悩むのは。 毎回答えは出ない。 だが、これでいい、そんな気もする。 「兄ちゃん待ってっ…」 少し早く歩きすぎたようだ。 少し待ち、手を繋いでいない方の手で七海の頭をやさしく撫でた。
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